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「ちっ!これだから餓鬼は」
苛立たしげに舌を打ち、葉佩が小さく吐き捨てた。その言葉に、皆守がふと眉を寄せる。葉佩の態度も気に食わなかったが、それ以上にある単語が引っ掛かった。
「餓鬼?って、お前いくつだよ」
「え?あ、いや、同じだよ!お前と同い年!」
「なんで二回言った」
嘘を吐く時、人間は同じ言葉を二回繰り返すと、皆守は聞いた事があった。情報源はもう忘れてしまったし、それが本当かどうかなど知る由も無い。だが、葉佩の表情を見れば一目瞭然だ。年上だったのか、と、大した感慨も無く、皆守は思っただけだった。本心から隠したいと思っていたのなら、葉佩は皆守に悟らせるような事はしない。隠している事実すら気付かせない。
「俺とお前は同い年っ☆」
満面の笑みで親指を立てつつ、葉佩が駄目押しする。分かった分かった、と投げ遣りに応えながら、皆守はそれ以上の追求をやめた。戯れのように秘密を弄び、葉佩は楽しんでいるのだろう。あるいは、ずっと葉佩を騙していた(本当の事を言わなかっただけだ。嘘は一度も吐いていない。と皆守は思っているが)事に対する意趣返しなのだろうか。軽く突付けば底が見える程度の秘密が、彼にとっては意趣返しになるのだろうか。その程度の意趣なのか。
皆守が溜息を吐き出した時には、先程の険悪な空気は消え去っていた。葉佩の表情も、いつもの胡散臭い薄ら笑いに戻っている。喧嘩すら、本当にはした事が無い。苛立った表情すら、皆守に自分の状態を伝える為に、わざと作って見せているのだろう。葉佩が本心の怒りを見せた事など、一度たりとも無かった。気付いた事実を、皆守は煙に溶かして空に放つ。
だからなんだってんだ。
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