2013.10.25

 表情が豊かな人ではなかった。むしろ無表情で、分かりにくい人だった。それなのに、記憶の中のあの人は、声もなく月のように微笑んでいる。
 今でも、ふと思い出すのは、あの人の微笑み。春の夜のように、夏の昼下がりのように、秋の夕暮れのように、冬の朝のように、頬をかすめた匂いさえも鮮明に、思い出すのだ、あの人の微笑みを。
 どんな気持ちでいたのかと、考えるようになったのは最近になってからだった。あの頃は、そんな事まで考える余裕はなかった。ただ目で追うだけで、手を伸ばすだけで、精一杯だったから。珍しく微笑みなど浮かべられたら、もうそれだけで心がいっぱいになってしまったから。

 本当はあの人も恐れていたのだと、考えるだけで泣きたくなる。あの時に気付いていれば、せめて支えにでもなれたのだろうか。そうしたら、あの人はあんなにも寂しそうな顔でなく、もっとたくさん微笑んでくれたかも知れない。あるいは怒ったかも知れない。泣いていたかも知れない。それ以外にも、いろんな表情を見せてくれたかも知れない。

 一度きりの微笑みを、今でもまだ思い出す。あの人の心が溢れて零れ落ちた、ただ一度の瞬間を、今でも。
 記憶の中のあの人は、こんなにも優しく切なげに微笑んでいるのに、できる事は何もないのだ、今さら。




どうしてこうなった。
あの人の微笑を、何度も思い出す。
そんな気持ちを書こうと思ったんです。本当ですよ。
どうしてこうなったんだ。
何かを間違えたような気がするけど、何を間違えたのか分からない。

うん、寝よう。
拍手と投票ありがとうございます。
今年は塩麹がお気に入りです。





2013.10.22
誰だブラッ○ジャック全巻おいてった奴。
読んじゃったじゃないか。
という訳で今日はもう寝ます。
風呂と飯は明日にしよう…
拍手ありがとうございました。





2013.10.19

 幻でもいい。
 実際、それは真実ではなかったのだろう。闇の中で、本当は見えないものを見た。それだけだ。あるいは、本当に見たかったもの、なのかも知れない。それはさておき。

 するどく舌を打つ音が聞こえて、断末魔のような絶叫が虚空にこだまする。化人が消滅の間際に発した音だ。きっと彼がやったのだと、見えなかったが葉佩には分かった。うっかり閉じていた目蓋を上げて、気を抜くと暗くなる視界に目を凝らす。彼の背中が見えた。一振りの刃のようだと、悲しみが浮かんだ。
 彼が振り向き、手を伸ばす。その時にはすでに、幻を見ていたのかも知れない。白い綺麗な手が一瞬だけ触れて、少しだけためらい、離れてゆく。追いすがるように目を上げると、雫が落ちてきた。

 涙のようだと思った。
 頬にあたった水は、あたたかかったのだ。口に流れてきた時には、その水は自分の汗や血やその他の汚れと混じって、判別は不可能だった。でも、涙によく似ていると思った。涙だったらいいと。

 泣くなよ、と言ったつもりだったが、声になったかどうかは分からない。彼は息を呑んで、唇を噛んで、自分の心臓の近くを握り締めた。はばき、とささやいた声は、葉佩が聞きたいと思っていた声だった。乾いた砂地に黒曜石のかけらが転がり落ちて沈み込むような、低くて甘い彼の声が、葉佩は好きだった。その声が自分の名を呼んだのが、ただただ嬉しかった。

 俺は死なないよ、と発した声は、どうやら彼の耳にも奇跡的に届いたらしい。当たり前だ、と吐き捨てられた。どうせ奇跡が起こるなら、もっと嬉しい奇跡がよかった。
 葉佩の胸中など知らず、彼は荷物でも担ぐように葉佩を肩に乗せた。そうしてからまた舌を打ち、小さく毒づく。ばかやろうが。柔らかくて甘い毒が、耳から入って喉を通り、気管を抜けて心臓を引っ掻いた。
 きっとそれも幻だ。葉佩は目を閉じる。

 眠っていても、彼がベッドまで運んでくれるだろう。朝になったらいつものように目覚めて、いつもより少しだけ動かしづらい体を頑張って動かして、もう治ったよと嘘をついて、「ゆうべはありがとう」と笑ってみせよう。カレーを作ってあげようか。そういえば先ほど、いい食材を入手した。あれを使ってだしを取って、穀物もちゃんと脱穀して、レトルトカレーも丁寧にあたためて、彼の為にカレーライスを作ろう。

 彼の硬い背中にすがり、葉佩はそっと考える。
 たとえ幻だとしても、彼の涙に打たれたなんて、砂漠のバラより貴重だろう。




ええと、うん。死んでないよ。
ちゃんと元気になって皆守に説教されるんだよ。
そこまで書く前に満足しちゃうのがわたしの悪癖なんだね。

拍手と【友】と投票ありがとうございます!

そして、今からちょっと叫びます。
心当たりない方はスルーしてください。

不快じゃないんです!
嬉しかったんです!
素敵な難問が楽しくてしょうがなかったんです!
葉佩は幸せ者だなぁって言いたかったんです!
あらこんけん持ってたらわたしにも貸してください!





2013.10.17
今月2日の雑記は、歌で正解だったのか。
そうかあの番組かぁ…
身近に幼児がいないと、こういうのは分かりませんよね。

しかし歌詞を調べてみたんですが、想像以上に無理矢理だった。
弓矢を持ったカカシとか見た事ない。
しかもやけに限定的だし。
なんでラッパは壊れた限定なんだよ。

と、まあ、たまには幼児と接するのも悪くないと思いました。
取り立てて良くもないけどね。

拍手と【愛】ありがとうございます!

昨日の23:20にメッセージくれた方へ(反転してください)
ごめんなさい、ちょっと卑屈になってました。
あのメッセージをもらって以来、ずっと(でもないけど)考えてるんです。
でも、誰かが幸せかどうか気にしてくれてる状態って
もしかしたらかなり幸せなんじゃないかと改めて思いました。
拍手と【愛】と嬉しいメッセージ、ありがとうございました!





2013.10.15
ところで皆さん←皆守さんの略称ではない。これを読んでるあなたです。
寿司 虚空編の2話は見ましたか?
読んだと表現するにはあまりにアレな、あの、アレですよ。

くっそおもしろい。
数学の気持ちよさが、知識が小学生並みのわたしでも理解できる。

初めて足し算を習ったときの、あの気持ちを思い出しますね。
足したり引いたりして、一日中でも遊んでいられました。
そして、掛け算、割り算、分数、少数…

こうすると、簡単に答えが出てくるよ。
先人たちが発見した法則や発明した記号は、とても魅力的でした。
でも、授業中にその法則や記号で遊んでいては、学習にはなりません。
点を整列させたり、円を綺麗に分割したり、小数点以下を延々と追いかけたり。
そんな事をしていたわたしは、やがて授業から零れ落ちました。

いつしか、算数が大嫌いになっていました。
中学生になって名称が「数学」になった頃には、もう数で遊ぶ事も忘れていました。
どうせ理解できないと、あんなにも好きだった友人を、自分から遠ざけました。

「つまりきもちいいんだよ ちょっとやってみようぜ」
そんな友人と再会させてくれた、寿司 虚空編。
お勧めはしませんが、まあ、なんだ、くっそおもしろい。
って言いたかっただけさ。

あ、あと重要な事をひとつ。
この文章を書いてる人は、妄想癖と虚言癖があります。
拍手ありがとうございました!





2013.10.12
雑記にしようと思ったメモを、思いなおして足したり引いたり掛けたり割ったりしてます。
葉佩の幸せについて、ふと考えたり考えなかったりしてました。
たぶんメッセージくれた人はもう忘れてるだろうな。
ぼんやりとですが、まだ考えてます。
いつまでも考えていたいなぁ…とか思ったり思わなかったり。
まあ、夜が長い季節なので、ゆっくりじっくり考えたいと思います。
しかし夜が長いからといって長く眠れる訳ではないってのが悩みどころですね。

拍手ありがとうございます。





2013.10.09

 少しばかり銃器の扱いに慣れていたのは、それが必要な環境にいたからだ。同じような環境にいて、彼よりも優れた能力を持つ者は多くいた。卓越した才能だとか、特殊な技能だとか、そんなものとは無縁の、ごく平凡な男だった。そして、誰よりも彼自身がそれをよく知っていた。

 八千穂が手を叩いた。すごいね、と言いながら彼に微笑みかける。光となって消え失せたのは、命ではないものだ。つまりこれは殺傷ではない。無邪気に喜ぶ八千穂は、水面のアメンボに界面活性剤を落とすよりもたやすく彼を褒める。
 皆守ですら、葉佩を何か特別なものでも見るような目で見ている、ような気がするのは、きっと気のせいではないはずだ。撃ち出した弾丸が命中すると、(たまに気が向いた時だけだが)「さすがだな」とかなんとか、背後で呟く声が聞こえる(寝言である可能性も否定できない)。

 特別になりたいと、葉佩もたまにはこっそり思う。たとえば、世界でただ一人であったり、そこまでいかなくても、何事かを為すのに必要不可欠な存在であったりとか、そのような自分を夢想していた。
 他愛ない、幼い夢だ。そんな事は葉佩も分かっている。

 隣で欠伸をしている皆守が、ふと視線を上向けた。少し遅れて、葉佩も顔を上げる。取手がピアノを弾いているのだと、すぐに分かった。どうせ特技を持つのなら、あのような美しいものがいいと、葉佩はまたしてもこっそり思う。
 隣を歩く相手には気取られぬよう、ふたりが同時に耳を澄ました。音楽に聞き入っていると知られるのは、なんとなく気恥ずかしかったのだ。歩調を緩めたのも、互いに気付かないふりをする。
 ピアノの音が聞こえなくなる前に、演奏は途切れた。




どんなオチにしようと思ってたのか忘れた。
いや、そもそもオチを考えていたのかさえ忘れた。
まあ、たぶん何も考えてなかったんだけどね。

「お前は世界に一人しかいねぇんだよ!」
とか
「お前がいないとつまんねぇんだよ!」
みたいなオチにしようと一瞬思ったけど、ええと、まあいいや。

アメンボに界面活性剤は、子供の頃やりましたよね?
どの程度ポピュラーな遊びなのかいまいち分からない。
近所の公園で池の水質汚染が問題になったりとか。
…しませんでしたか?

それはさておき拍手ありがとうございました!





2013.10.02
なんの前触れもなく幼児が話しかけてきました。
不思議な節をつけて。

「すうじの いち は なあに?」

あなたならどう答えますか?
わたしは何も答えられませんでした。

すうじのいち、数字の1?
なにって、え、何?
1ってなんだ?
ひとつって事、かな?
でも「ひとつ」というのは、どういう意味だ?
ひとつのリンゴは、複数の分子から成り、分子は複数の元素から成る。
その元素も複数の素粒子から成る。それはもう1ではない。
1pは10o。もっと細かくもできる。
1って、なんなんだ…?

絶望にも似た思考に落ち入りかけたわたしに

「こうば の えんとつ!」

という明快な解答。
工場を「こうば」ってって重箱読みだなぁ…
とか咄嗟に思ったわたしはきっと文系女子の才能があるに違いない。

子供が続ける。「すうじの にぃ は なーんだ!」
わたしは答える。「あ、ええと、ハンガー!」
「おいけ の だちょう!」
「ガチョウじゃね?」
「すうじの さん は なあに?」
「3…3は…ヒョウタン…の、半分」
「あかちゃんの おみみ!」
「赤ちゃん限定なの?」
「すうじの よん は なあに?」
「えー、あー、フラミンゴの脚!」
「あ、ままー!」

ここで会話は途切れた。
誰か、4以降はなんだったのか教えてくれ。

そしてあの子供は何が聞きたかったのか。
そもそも質問ではなかったのか。
なんかの歌とかそんなんだったのか。
どうでもいいけどなんか気になる。
そんな不思議な出会いがありました。

拍手と【愛】と【燃】と投票ありがとうございました!