2012.09.30
 葉佩が何事か語るのを右から左に聞き流しつつ、皆守は愛用のベレッタを指先で撫でた。この遺跡が造られた理由だとか、辿ってきた歴史だとか、土着の宗教観だとか、そんな事ばかり口にして、葉佩は実に幸せそうに微笑んでいる。
 大発見だ、とささやいた声が本当に幸せそうで、その前後をまったく聞いていなかった皆守は、それだけで溜息をつきたくなった。

 石碑に見入ったように動かなくなった葉佩の背中を眺めながら、皆守はアロマに火を点けた。驚いて振り向いたのはもう遠い昔の事で、今では「気が散る」と毒づく声さえなくなった。
 これだと小さくつぶやいて、葉佩が立ち上がる。視線は前に向いていて、背後の皆守には意識も向けない。まばたきすら忘れたように、闇に魅入られた男が石の壁に手の平を当てる。
 ゆっくりと慎重に冷たい石を撫でる指先が、光に触れた。「開いた」と、やはり誰に聞かせる訳でもなくつぶやいて、小さな亀裂にナイフを突き立てる。糸のように細くたよりない光が、一瞬にして空間を埋め尽くすまでに増大した。
 全身に光を浴びる葉佩が、感極まって息をついた。そのまま夢見るような足取りで踏み出した葉佩は、その背後で皆守が発砲した事にも注意を払っていない。目指す一点だけを見詰めて、それ以外の全てを意識の外に追いやっている。

 開錠と同時にうごめいた闇にすら、葉佩はまるで気付いていない。何故ならこの《宝探し屋》には、有能なバディがいるから。その行動を助け、障害を排除し、どんな危険も退ける、類稀なる能力を有した最高のバディが。

 少し遅れて部屋に立ち入った皆守は、それはそれは嬉しそうな横顔を見る。腹が立ったのでその背中に蹴りを入れたら、何すんだよ、とそれでも嬉しそうな声が聞こえる。
 このオーパーツはね、と語りだした声を聞き流し、皆守はおそらく折れているだろう左腕に副木を固定した。利き腕をやられたので、包帯を巻くのが厄介だ。右手と口を使ってなんとか結び目を作り、鈍痛に顔をしかめながらも処置を終え、また溜息をついた。

 ねえ皆守、と声がして、真面目に聞けと責められた。
 ああまだ名前を忘れずにいてくれたと、皆守は安堵する。
 幸せそうに喋りだした葉佩の声を聞き流しつつ、皆守は帰路の手配の事を考えていた。



↑葉佩の幸せについて、一例。
誰かが幸せになるには、他の誰かが犠牲になるしかない。
という結論が気に食わなかったので、別のアプローチを考えてみます。
葉佩はどうしたら人に迷惑をかけずに幸せになれるんだろう。

拍手と【愛】ありがとうございました!





2012.09.29
「お前なんかコンビニでコンドームをちょっと隠しぎみにレジに持ってったら弁当と一緒にチンされてしまえ」
「実体験か」
「コンドームだけにチンされてしまえ」
「黙れ」
「最近チンって鳴るレンジあんまりないな」
「そうだな」
「まあ、それで困るのはお前だな」
「使うのか!」

どっちが誰かは言わないでおこうと思う。
なんとなく分かってしまうような気もする。
察してくれ。(←このサイトの基本姿勢)
でも分かりづらくする為に語尾をちょっと変えたよ。
実体験と実験体って似てるよね。
拍手と【愛】ありがとうございます!





2012.09.27
「こたつを出そう」
「早くないか」
「トンボが飛んだらもう冬だよ」
「夏から飛んでるが」
「こたついいよね」
「否定はしないが、早くないか」
「虫が鳴いたらもう冬だよ」
「まだ秋だ」
「秋ってもう冬だよね」
「秋だろ」
「こたつに入って春まで寝てたい」
「同意はするが、早くないか」

いや、秋も好きなんですけどね。
やっと来たね秋!
でもこたつはまだ出してません。
が、シチューはもう作りました。
鍋もやったよ!
あー冬が待ち遠しい!
早く来ないかなー冬!
いや、秋も好きなんですけどね!

拍手と投票ありがとうございます!
いちご牛乳か…
アニ魔人あんまりちゃんと見てないんだよなぁ…
いや、これはきっとあれだよね。
甘酸っぱいものが好きっていう主張だよね。
裏の意味など無い!
…よね?





2012.09.23
 ひゅうと肩先を追い越した赤いトンボが、空へと吸い込まれるように高度を上げた。つられて視線を上げて、その青さに目がくらんだ。あまりに高く遠い空は、すべてが終わった後の静寂を想起させる。

 トンボの軌跡のように、その手は差し出された。あざやかにひるがえり、無防備に空の手の平を見せて、その男は笑った。よく晴れた真昼の空のようだった。
 だから、ばちんと音を立ててその無邪気な手の平が自分の頬に接触しても、緋勇は訳が分からなかった。少し遅れて、触れた部位に熱が灯る。だいぶ遅れて、平手で打たれたのだと認識した。しかも、相当に手加減されて。
 しかし手加減されていたとはいえ、不意を突かれたとはいえ、顔面に平手を食らった事実は否めない。白くひらめくその手に見とれていたなどと正直に言えるものではなく、発生した熱までもが甘く感じられるなどと告白しても正気を疑われるだけなのは分かっていたので、緋勇は眼光を鋭くして蓬莱寺を睨みつけた。

「何をする」
「ばか」
「いや、ええと」
「ひーちゃんのばか」

 子供が拗ねているような口調で、蓬莱寺はもう一度「ばか」と呟いた。



立秋に上げようと思ってて忘れてたネタです。
ひーさんが平手打ちされるところを書きたかっただけです。
掌底じゃなくて平手なあたりが【愛】なんです。

ところでもうすぐカウンターが30000行きそうですね。
行ったらなんかお祝いしたいなぁ。
何したらいいんだろう。
よし、すどりんと双樹さんのエロい話でも書くか。嘘だけど。
リクエスト受け付けます!
とか言いたいけど、書けるかどうかが分からない…

拍手と【愛】ありがとうございます!





2012.09.18
やっぱり蜻蛉が一番かっこいいなぁ。
と再認識した旅でした。
まず飛ぶ姿がかっこいい。
枝先にぴっと留まってるとこもかっこいい。
アップで見ると構造もかっこいい。
体色も綺麗で翅も美しい。
しかも秋に多いから、なんとなく切ない。
色づいた葉々と夕焼けとアキアカネ。
それだけでもう詩情がただよってる。
そして明るいうちからの飲酒まじ最高でした。
日中に飲む酒はなんでこんなに美味いのかね!

留守中に拍手と【燃】ありがとうございました!





2012.09.14
国常立は、国底立とも書くらしい。
と初めて知って、ふとこんな構図を思い浮かべた。

天御中主(まんなか)
高皇産霊(上の方)
神皇産霊(生物または自然現象)
うましあしかびひこじ(植物≒地面)
天底立(下の方)

という、世界を別けて認識する方法。

まず基準となる自分(まんなか)がある。
次に空(上)(太陽とか雲とかそんなん)。
あと地震雷火事おじやは怖いよね。
でも植物うまいよね。
そして土台(根の国)(むしろ死)。
(ねのくにって打ったら真っ先に寝の国って出た)
(グッジョブ愛機)


みたいなイメージ。
しかも書紀本文では常立が最初の神様なんだって。
やっぱ土台から作るのが確実ですよねー。
言い尽くされてるネタだったらごめんよ。

たまにはこんな事も考えてます。
拍手ありがとうございます。
来週ぐらいまで留守にします。





2012.09.11
 ぼんやりと、皆守はただ見ていた。綺麗だとは思わなかった。汚いとも思わなかった。ただ、夕日が沈んで、星がだんだんと鋭く輝きだすのを見ていた。
 いつの間にか隣に立っていた葉佩が「綺麗だね」と言ったが、皆守は何も言わなかった。葉佩がいなければ、こんな場所で阿呆のように空を見上げる事もなかっただろう。自分の爪先だけを見詰めて、風が冷たくなる前に自室に戻って、窓を開けるなどと考えもせずベッドに落下していたに違いない。
 それなのに、皆守は空を見上げていた。ねえ皆守、と声がする。綺麗だね、と繰り返す。同意が欲しいのか、と少しだけ意地の悪い口調で問うと、そうじゃないんだ、とあっさり返った。
 星が綺麗だなんて、思った事は一度もない。ただ見てただけなんだ。でも分かった、夕焼けとか星は、綺麗なんだ。視線は遠く空に飛ばしたまま、葉佩が茫洋と呟く。その独白を、皆守は理解しない。

 夕焼けの雲や星が綺麗だと、葉佩は知らなかったのだ。ただ夕焼けの雲や星を見ると訳も分からず悲しくなって、だからずっと夕焼けの雲や星が嫌いなのだと思っていた。それなのに見たくなるのは何故なのかと、ずっと考えていた。悲しくなっても目を逸らせずに、いつだって考えていた。どうして見上げるのかと。
 みなかみ、と呼ぶ声がする。嬉しそうに、でもどこか悲しそうに。綺麗なものを見たら誰かに言いたくなるのだと、葉佩はようやく知ったのだ。



皆守と取手は友人だったらいいなぁと思います。
些細な事を話せる友人。
「今日は暑いな」
とか
「カキ氷のシロップはどれが好き?」
「カレー」
「僕はぶどうかな」
「そんなんあるのか」
「こっちの台詞だよ」
とか、そんなつまらない話。
白岐さんが温室の花を誰かに見せたかったみたいに。

拍手と投票ありがとうございます。
アンケートが2並びだね!





2012.09.09
突然ですが、緋勇を泣かせたい。大爆笑でもいい。
壊れてないけど溢れちゃったのがいいなぁ。
制御不能でわたわたしてる緋勇が見たい。
でも可愛げ絶無だともっといい。
「皆無」より「絶無」の方が、より無な感じがします。

拍手と投票ありがとうございます。
わたしも今日はカレーな気分でした。
でも夕飯はたこ焼きでした。





2012.09.08
なんかこう…無駄な事をしたい。
無駄にスキップしたり
無駄に時計の針を早めたり
無駄にスクワットしたり
無駄に恐竜の名前を憶えたり
無駄に行動力を温存する緋勇とか
(「頼むひーちゃん鳳凰なら届くだろ!」「もったいない」「!?」)
無駄に毎朝H.A.N.Tの時計を秒単位で合わせてる葉佩とか
(几帳面っぽい行動だけど葉佩がやると偏執狂っぽい)
無駄に無駄無駄無駄無駄って叫んだり
無駄に意地を張ってみたり
(京一の事なんか別に好きじゃないんだからね!)
無駄に横文字を使ったり
とにかく無駄な事をしたい。

人生に無駄って必要だよね。
このサイトとか。
拍手ありがとうございます。





2012.09.07 白露
「楽しいから」
それでいいじゃない。

データ消えたけど…
いいじゃない…
復元できなかったけど…
いいよ、書くの楽しいから。
うん、いいよ。
新しいの書こうか。
よし、書こう。
でもその前に寝よう。
おやすみなさい。
拍手ありがとうございます。
なんか遺言みたい。





2012.09.05
昔も今も変わらず素敵って言ってくれた人がいる…!
抹消済みの黒いあれこれを知ってる人だったらどうしよう。
なんか気付けば随分と長くサイトやってるなぁ。
そりゃあ黒い歴史も降り積もるってもんですよ。
でも当時の精一杯だったんだと思うと、なんとなく消せないんですよね。
反省はしてるけど後悔はしてません。

わたしは好きな文章ってアホみたいに読み返すんです。
誰かにとってのそんな文章を書けたらいいなぁ。
と、たまーに思います。たまーにね。
それ以外は、だいたい酷い事を考えてます。

拍手と【愛】ありがとうございます!
優しくされると泣けてくるぜ!





2012.09.04
久し振りに自作の話を読み返しました。
なんか昔の方が勢いがあったような気がする。
疾走感がすごい。突っ走ってるとも言う。
そして中二病をこじらせて小二病を発症してる。

あと、ファイルの整理してたら酷い話を発掘しました。
これはひどい。と思ったけど、まあいいか。
明日になっても上げたい気分だったら上げます。
さんざん迷って結局上げなかった話は、やっぱり上げないでおこうと思います。

拍手と投票ありがとうございました!
いちご牛乳かぁ…
すっかり忘れてた。どうしようあの部屋。





2012.09.02
疲れすぎててテンションおかしい葉佩を書きたいなー。
と思ってから数秒で「それはいつもの事だ」って自分に突っ込まれました。
そうか、葉佩はいつも疲れてたのか。無理してたのか。
《宝探し屋》という重圧に耐えてたのか。
だからうちの葉佩はいつもテンションおかしかったのか。

ところでもう9月になってたんですね。
9月といえば恒例のあれがありますよね。
また誰かが九龍の企画やってくれるのを楽しみにしてます。
あの人の葉佩とかあの人の皆守をまた見たいよ。
拍手ありがとうございます。