「亀の奴は誰だ」
「ああ、浦島太郎な」
「太郎は何をしたんだ」
「あー、えっと、亀が苛められてたんだよ」
「太郎に?」
「そーじゃなくって、その辺の餓鬼に」
「なんで」
「さあ、なんか絡みやすかったんじゃねぇかな」
「それで亀が闘うのか」
「いや、闘わない」
「そうか、それもまた一つの道だな」
「亀道とか、きっとあったんじゃねーかなーと、まあそれはさておき」
「ん?続くのか?」
「これだけだったら亀が可哀想なだけだろ」
「非戦を貫いた勇敢な亀の物語じゃないのか」
「おお、最初の一文だけですげぇ壮大になったな」
「やはり、復讐するのか」
「しねぇよ。お前はちょっと黙って聞け」
「分かった」
「で、えーと、なんだっけ」
「…」
「睨むな!怖い!」
「お前が黙れと言うからだ」
「人の所為にすんじゃねぇよ!」
「闘いもせず復讐もしないで、どうやって話が続くんだ」
「あ、だからそこで浦島太郎が出てくんだよ」
「亀に乗って」
「それはまだ」
「む、そうか」
「普通に歩いて来て、亀を助けてやるんだよ」
「ほう」
「で、亀がお礼に竜宮城に連れてってあげましょーって話になって」
「ふむ」
「レッツゴー・ザ・海」
「オーシャン」
「シーじゃね?」
「そうともいう」
「まあ兎に角、竜宮城は海の底な訳だ」
「…つまり?」
「ここで浦島が亀に乗る」
「おお」
「最大の見せ場だな」
「そうだな」
「…そうなんだ」
「いい話だったな」
「終わってねぇ!」
「まだあるのか」
「で、竜宮城に行って遊んでたら百年ぐらい経ってたんだよ」
「待て、当初は何歳だったんだ」
「さあ、若者ぐらい?」
「それは年齢ですらない」
「で、貰ったお土産でジジイになって終わり」
「…ん?」
「どうした?」
「ジジイになってなかったのか」
「うん」
「???」
「さー寝るぞー」
「え、おい待て、本当に終わりか?」
「終わり終わり」
「はしょってないか?」
「ないない」
「お土産ってなんだ」
「玉手箱」
「…お前が猿になるあれか」
「そーそー」
「…???…」
「ぐー」
「…腑に落ちんな」
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