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「来たな、じゃあ始めるか」
「そうだな」
「おうよ!やろうぜアレをよぉ!」
「カズマ、俺は常々思っていたんだ」
「なんだよ」
「お前は語彙が貧困なのか、それとも知ってるはずの言葉が出てこないのか、どっちだ」
「くそ余計なお世話だ」
「後者だとしたら、医者に相談した方が…」
「じゃあ後者じゃない方で」
「分かった、ただ言葉を知らないだけか」
「俺も思ってた事があるんだ」
「言ってみろ」
「一回ステゴロやってみねぇ?」
「ステゴロ…?」
「おうよ、俺の拳とあんたの拳、どっちが硬いか比べてみよーぜ」
「器具もないのにどうやって測定するんだ」
「違う!」
「む、違ったか」
「拳だけでやってみよーぜって言ってんだよ」
「掌底は駄目なのか?」
「いや、それは別にどうでもいい」
「蹴りは?」
「それも、まあ、ありだな」
「それで、ステゴロとはどういう意味だ」
「そっからかよ!」
「聞くは一瞬の恥、聞かぬは一生の恥、というだろう」
「へえ、誰が言ったんだそれ」
「昔の偉い人だ」
「ふーん…(こいつって変な知り合いがいるんだなぁ…)」
「意味は、分かるか?」
「まあ、だいたい、なんとなく」
「そうか、ならいい」
「ステゴロってのは、素手って事だよ」
「ほう」
「おもしれーだろ?」
「え、何がだ?」
「アルター使ってなんぼの俺が!素手でやろうとか言い出した事が!」
「そうか成る程」
「分かってくれたか!」
「カズマ、俺は常々疑問だったんだ」
「何がだよ」
「『なんぼ』とはどういう意味だ?」
「くそどうでもいい!」
「しかし気になってしょうがないんだ」
「そんなに?」
「夜も眠れないから昼に眠くなって困っている」
「昼寝すればいいだろ」
「そうしたら夜に眠れなくなるだろう!」
「なんでキレてんだよ!」
「さてはお前、意味も分からず使ってたな」
「アルター使わねぇと締まんねぇ、ぐらいの意味だよ」
「というと、用法から推察するに…」
「なあ、まだやんねぇの?」
「お前が俺を好きすぎて気持ち悪いのはよく分かったから、焦るな」
「否定はしねぇけど、もうちょっと言葉を選べ」
「そういうのは苦手だ」
「あんたも相当だよな…」
「つまり、『なんぼ』というのは」
「あ、まだその話してたんだ」
「締まる、というような意味か」
「ああ、まあだいたいそんな感じ」
「お前はアルターを使うと締まるのか」
「なあ、もういいだろ?」
「何が締まるんだ?」
「想像に任せる」
「そうか…俺はてっきり関西弁で『幾ら』の意味かと思ってたな」
「あ、それだ」
「要するに、アルターを使わないと金銭的に価値がない男、という事だとばかり」
「たぶんあってるんだろうけど、なんでこんなにムカつくんだろう」
「つまり、金銭的に価値のない状態で俺とやり合うつもりか」
「やっと話が戻ってきたな!」
「そんなに喜ぶな、今のはどちらかというと貶している」
「違うんだよ!そうじゃねぇんだよ俺が喜んだのは!」
「まあいい、俺はアルターがなくとも甲斐性があると証明してやろう」
「なんか引っ掛かるけど、まあいいや」
「カズマ」
「おうよ」
「お前がモテないのは、金がないからじゃないぞ」
「よーし分かった殴る!」
ROUND 1
―FIGHT!
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