カズマと劉鳳1

「来たな、じゃあ始めるか」
「そうだな」
「おうよ!やろうぜアレをよぉ!」
「カズマ、俺は常々思っていたんだ」
「なんだよ」
「お前は語彙が貧困なのか、それとも知ってるはずの言葉が出てこないのか、どっちだ」
「くそ余計なお世話だ」
「後者だとしたら、医者に相談した方が…」
「じゃあ後者じゃない方で」
「分かった、ただ言葉を知らないだけか」
「俺も思ってた事があるんだ」
「言ってみろ」
「一回ステゴロやってみねぇ?」
「ステゴロ…?」
「おうよ、俺の拳とあんたの拳、どっちが硬いか比べてみよーぜ」
「器具もないのにどうやって測定するんだ」
「違う!」
「む、違ったか」
「拳だけでやってみよーぜって言ってんだよ」
「掌底は駄目なのか?」
「いや、それは別にどうでもいい」
「蹴りは?」
「それも、まあ、ありだな」
「それで、ステゴロとはどういう意味だ」
「そっからかよ!」
「聞くは一瞬の恥、聞かぬは一生の恥、というだろう」
「へえ、誰が言ったんだそれ」
「昔の偉い人だ」
「ふーん…(こいつって変な知り合いがいるんだなぁ…)」
「意味は、分かるか?」
「まあ、だいたい、なんとなく」
「そうか、ならいい」
「ステゴロってのは、素手って事だよ」
「ほう」
「おもしれーだろ?」
「え、何がだ?」
「アルター使ってなんぼの俺が!素手でやろうとか言い出した事が!」
「そうか成る程」
「分かってくれたか!」
「カズマ、俺は常々疑問だったんだ」
「何がだよ」
「『なんぼ』とはどういう意味だ?」
「くそどうでもいい!」
「しかし気になってしょうがないんだ」
「そんなに?」
「夜も眠れないから昼に眠くなって困っている」
「昼寝すればいいだろ」
「そうしたら夜に眠れなくなるだろう!」
「なんでキレてんだよ!」
「さてはお前、意味も分からず使ってたな」
「アルター使わねぇと締まんねぇ、ぐらいの意味だよ」
「というと、用法から推察するに…」
「なあ、まだやんねぇの?」
「お前が俺を好きすぎて気持ち悪いのはよく分かったから、焦るな」
「否定はしねぇけど、もうちょっと言葉を選べ」
「そういうのは苦手だ」
「あんたも相当だよな…」
「つまり、『なんぼ』というのは」
「あ、まだその話してたんだ」
「締まる、というような意味か」
「ああ、まあだいたいそんな感じ」
「お前はアルターを使うと締まるのか」
「なあ、もういいだろ?」
「何が締まるんだ?」
「想像に任せる」
「そうか…俺はてっきり関西弁で『幾ら』の意味かと思ってたな」
「あ、それだ」
「要するに、アルターを使わないと金銭的に価値がない男、という事だとばかり」
「たぶんあってるんだろうけど、なんでこんなにムカつくんだろう」
「つまり、金銭的に価値のない状態で俺とやり合うつもりか」
「やっと話が戻ってきたな!」
「そんなに喜ぶな、今のはどちらかというと貶している」
「違うんだよ!そうじゃねぇんだよ俺が喜んだのは!」
「まあいい、俺はアルターがなくとも甲斐性があると証明してやろう」
「なんか引っ掛かるけど、まあいいや」
「カズマ」
「おうよ」
「お前がモテないのは、金がないからじゃないぞ」
「よーし分かった殴る!」

ROUND 1
―FIGHT!














カズマと劉鳳2

「そんな事も知らないのか」
「なんだと?」
「所詮はインナーか」
「てめぇ…」
「なんだその目は」
「だったらあんた、野菜のおいしい食べ方知ってんのか?」
「野菜は煮付けが一番だ」
「は、所詮はホーリィか」
「なんだと貴様…」
「野菜はなぁ、生でかじるのが一番うまいんだよ!」
「ふん、莫迦な事を」
「じゃあこれ食ってみろ!」
「そんな土のついた物を食べるほど、俺は飢えていない」
「いいから食え、それとも無理矢理突っ込まれたいか?」
「なんでそうなる」
「俺はそれでもいいんだぜ、ほら早く決めろよ」
「いや、ちょっと待て」
「自分で食うか、俺に突っ込まれるか、選べよ」
「なんだその究極の選択は」
「うわ、その表情すげぇムカつく」
「いいか、そういう近視眼的な発想でしかものを考えられないからお前は駄目なんだ」
「キンシガンてちょっと強そうだな」
「もっと広い視野を持て。選択肢は本当にその二つしかないのか、よく考えてみろ」
「いいから食ってみろって、うまいから!」
「…せめて洗え」
「洗ったら味が落ちるんだよ!」



擦った揉んだ(←ちょっとエロい)



「こ、これは…!」
「どうよ!」
「くっ…こんな、莫迦な…」
「認めるか?」
「致し方ない…認めよう。野菜は生がうまいと…」
「そんな事も知らねぇで、デカい口叩いてんじゃねぇよ」
「くっ…!」
「あと、みかんは投げると甘くなるんだぜ!」
「そ、そうなのか!?」
「おうよ!」(※酸味が少なくなるだけで甘くはなりません)
「そうだったのか…」
「ふん、ホーリィ野郎には刺激が強すぎたか?」
「か、母さま…!」
「えええええええ号泣!?」
「母さまの気持ちが、今やっと理解できた…!」
「そ、そりゃよかったな」
「なんか知らんが母さまは、冬になるとみかんを投げつけてきたんだ…」
「へー」
「意味が分からなくて正直ちょっと戸惑っていたんだが…」
「それは訊けよ」
「今、お前のお蔭で長年の謎が解けた…」
「うん、まあちょっとでも甘いみかんを食わせてやろうって親心だったんだろうな」
「ふ、まさかお前の言動で母さまを思い出すとはな…」
「おう、それは俺もびっくりだ」
「きっとこれから、お前を見る度に母さまを思い出す」
「それってどうなの」
「凄く嫌だな」
「だろーな」