君島邦彦というキャラクタについて







基本的な立ち位置

カズマの相棒であり、情報屋。カズマに仕事を紹介したり、カズマをからかったり、カズマとじゃれ合ったり、カズマに関節技をかけられたり、カズマをうまく丸め込んだり、弟思いのクール美人に恋をしたりしている。

ホーリーに捕らえられたカズマを追って市外に潜入した際、「どうしてお母さんは俺をこっち側に産んでくれなかったのか」と嘆いている。現状を受け入れつつも、愚痴ったり恨み言を漏らしたり弱音を吐いたりと、人間的な部分が多く描写されている。







憧憬と嫉妬

カズマに憧れている。
これは、なかなか思い切った設定ではないかと、わたしは考えている。腐女子的な話ではなく。

自分は特殊な能力を持たず、それゆえに痛い目を見たり、無力感に襲われたりしている。そして、隣に立っているのは、バカだが強くて何物にも屈しない精神と、特殊能力を持つ男。羨むよりも、妬む方に気持ちが向いてしまうのが自然ではないか。
しかし君島は、カズマを信頼している。憧れてさえいる。あんな風になりたいと思い、そう考える自分を認めている。自分が無力である事を認め、心を託す相手を自分で決定しているのだ。
処世術などという言葉では説明できないほど、潔くも悲しい生き方だと感じた。







お前はアルターがあるからそんな事が言えんだよ!

言った直後に謝っている。それが苛立ちからくる八つ当たりだと理解しているからだろうか。だとしたら、彼とカズマの間には、上下関係があるような気がする。力を持つカズマが上で、それを頼る君島が下だ。

アルター使いは、総じて差別されている。作中で具体的な描写は見られなかったが、兄貴が「人間的に扱ってくれる場所」を求めてホーリーに入ったという発言からも、力を行使して恐怖させるか、あからさまに忌避され迫害されるかの両極端な存在であった事は推測できる。迫害が時に弾圧になる事はいうまでもなく。
あるいは、そんなアルターを引き合いに出して反論とした事を、彼は謝ったのかも知れない。

この時、君島は、仲間をホーリーに捕らえられ、助けられなかった。それを悔やみ、自分の無力を痛感し、自分も大怪我を負っている状態である。それで弱音を吐いたら、先天的に能力を持つ男に、行動を起こさない事を批判された。しかもぶん殴られた。
信じて頼るしか、彼に道は残されていなかったのではないか。







他にはいない

しかし君島とカズマは、どこまでも対等である。それは、カズマがバカだからではないか。「バカだねお前は!」と言いながら、君島は嬉しかったのだ。カズマが持っていないものを、自分は持っているという事が。
だから君島はカズマを頼り、カズマは君島を頼った。

カズマを相棒として選んだ自分の眼力を、最終的には信じたのだろう。
そして、カズマはそれに応えた。カズマもまた、彼を頼り、信じた。
互いにとって、何物にも変えがたい価値ある関係だった。
つまり、それだけだ。