2016.12.21(冬至)

 昼も夜もない地下の暗がりから這い出すと、空が赤く染まっていた。しかし葉佩は空の色になど目もくれず、H.A.N.Tを開いて自分の位置を確認した。入口から約4キロメートルほど南西に移動したようだ。時計も確認する。ちょうど日の入りの時刻だった。
 息を吐き出し、やっと空を見上げ、その色をたしかに目に入れはしたが、やはり無表情に歩き出す。
 葉佩は夕焼けが嫌いだった。嫌いという表現は適切ではないのだろうが、それでも葉佩の語彙でこの感情を表すのであれば、やはり嫌いだった。胸が押し潰されるような気持になる。訳も分からず声を上げて泣き叫びたくなる。
 しかもその色の声が自分を呼ぶのだから、もう何もかも投げ捨てて逃げ出したくなる。

「終わったのか?」
「まだ」
「そうか」
「あ、嘘です終わりました」
「そうか?」
「うん、だからお前は早く帰れ」
「そうする」
「うん、じゃあね」
「お前も、気を付けろよ」
「何に?」
「いろいろ」

 そう言って、夕焼けのようにとろりと微笑んで、運転手はランドクルーザーのアクセルを踏んだ。無駄に吹かさず、最適なタイミングでクラッチを繋ぐ彼の運転が、葉佩はこっそり好きだった。ともすれば夕焼けと同じくらいに。

 入り日に向かって走り出したランドクルーザーを目で追いながら、葉佩は肩に掛けていたアサルトライフルを構えた。1秒以下で照準を合わせ、ためらわずトリガーを絞る。
 狙いたがわず、発射された弾丸はランドクルーザーの左後輪を撃ち抜いた。当然だ。今更そんな事ではしゃぐような葉佩ではない。
 ランドクルーザーが少し揺らいで、危なげなく停車した。そんな些細な動作にも、葉佩はなぜか嬉しくなる。車体が大きく蛇行もせずに停車したのは自分の腕ではないのに、誇らしいような気分になるのだ。
 運転手が降りて、葉佩を見つめた。銃撃されたにもかかわらず、怯えるでもなく怒るでもなく、ただ無表情に、あるいは何かを期待するように、何も言わずに葉佩を見つめた。その目がどうしようもなく嬉しくて、悲しくて、葉佩は大声で怒鳴った。

「なんで行っちゃうんだよ!」
「早くビールが飲みたい」
「ビールは苦いだろ!」
「それがいいんだ」
「ばか!」
「あと、風呂に入りたい」
「皆守のばかぁ!」
「ほら、早くしろ」
「もう動けねぇよ、タイヤ撃っちゃったから」
「スペアがある」
「俺、交換なんかできないよ」

 運転手はうすく笑って、知ってる、とささやいた。その声が夕闇に残る太陽の色とよく似ていて、葉佩はまた泣きたくなる。泣きながら、どうか沈まないでと願いたくなる。
 なす術もなく立ちすくむ葉佩に、運転手は何事もなかったように声をかける。聞くだけで胸が引き絞られるようなあの声を、煙草に火を点けながら、まるでなんでもない事のように。

「ほら、早くしろ」
「何を?」
「スペアを出せ、ジャッキとレンチもだ」
「暗くなってきたよ」
「だから早くしろって言ってるんだ」
「食料なら、まだあるよ」
「だから?」
「オイルも残ってる」
「それで?」
「カレーも、白米もあるよ」
「トリュフは?」
「それは、ない、けど」
「ビールは?」
「ないけど」
「葉佩」

 彼が呼ぶだけで、それが自分の名前になるのが不思議で仕方なかった。「なに?」と返すだけで、自分が何者かになれるような気がした。
 ビールはないけど、ウィスキーならある。ちょっと湿っているが毛布もあるし、ランドクルーザーには暖房があり、燃料もたっぷりある。そして何より、1年で最も長い夜が目の前にある。

「バカはお前だ」

 そう言って吐き出した煙の甘さが、葉佩は嫌いだった。泣きたくなるほどに。




小説家が主人公の小説を読みました。
わたしは小説家にはなれないなぁ、と。
思った訳ですよ。

スポーツ選手でも大工でも医者でも音楽家でも。
わたしは、やっぱりなれないなぁと思う訳ですよ。

もう思い出せないくらい昔には、旅人になりたかった。
持ち歩いてる物だけで、全部できるような。
戦う事も、生きる事も、全部。
まあ、いわゆるゲーム脳ですね。
実は今でも憧れてます。

数日だけ出かける前に、鞄に荷物を詰めながら
一生ここに戻れない。
そんな空想をします。
そうして出かけて帰ってきて、またPCに向かいます。

出先で、ああ書きたいなぁ、なんて思いながら帰ってくる。
悪くない人生なんじゃないかと思っています。

拍手ありがとうございました!





2016.12.14
雑記はメモ帳に書いてからコピペしてます。
メモ帳はネタメモとしても使ってるんですよ。
つまり、情報がカオスのままそこにあります。

ある日、上の方に「。」だけぽつんと残されてたんです。
こないだの雑記のコピペもれだ。
って気付くまでちょっと本気で解読しようとしてましたよ。
こんな情報を情報としてメモっておくはずがない!
とは言い切れない自分がちょっともうダメすぎて可哀想。

唐突ですが「可哀相」と「可哀想」について。
後者の方が「心」があるので意味としてはいい感じな気がする。
と思うんだけど「相」って見た目って意味もあるっぽいし
「誰かを見て思った」のなら、前者の方が相応しい気もする。

あと「可哀相」の方が字面があっさりしてて好き。
でも「可哀想」は見る側の心とかも含められそう。
「思う」と「想う」の使い分けみたいな。
「想う」って書いたらだいたい恋心だよね。

ふと思ったので言ってみたけど、普段これといって使い分けてません。
一発で変換された方を使ってます。
以前もらったメッセージに「可愛くて可哀くて」ってのがあったなぁ。
あの変換が好きで、今でもこっそり使う機会をうかがってます。

拍手ありがとうございました!





2016.12.07(大雪)
煙草吹かしながら月を見てたんですよ。
いい感じの上弦の月でした。

最近やっと下弦の月、上弦の月って知ったんですけどね。
で、ふと思い出したんですよ。
前に下弦の月がどうちゃらって書いたなぁって。

読み返してみたんですが、どうやら矛盾はなさそう。
方向とか時間とか特定してたらアウトだったね。
うん、ほっとした。
我ながらよく憶えてたなぁ。
忘れてる事の方が多いのにね。
いや、忘れてるだけで他にも書いてるかも…?
まあいいか。気が付いたらこっそり直します。

ついでにおまけまで読んでしまった。
面白いかはさておきて、楽しそうだよなぁ…
いや、うん、楽しかったよ、書いてる人は間違いなく。
その快感を憶えてるからこそ、やめられないんだよなぁ。

そしてですます調がいつのまにか独り言になるのはもういいや。
拍手ありがとうございます!





2016.12.02
ゲーム音楽の魂に刻み付けられてる感すごい。
聞いた瞬間、なんの曲か思い出す前に泣きそうになる。
この現象ってなんか名前ついてないのかな?

って感じの事を書いてたら、いきなりメモ帳がシャットダウンした。
使わなすぎて反乱を起こしたのかな。
愛機2号は1号と違って虚弱だからな。

それはさておき
歌とか曲とか、言葉よりも感情を呼び起こす気がするんだ。
プルースト効果みたいに、なんか名前がついててもいいよね。
と思ってググってみたが、特に何も出てこなかった。

え、これ、わたしが名付けてもいい?
って友達と話してて「べっつにいんじゃね?」って言われた。
ので、「ふっかつのじゅもん効果」って言ったらきょとんってされたよ。
同世代だと思ってたのに…

拍手ありがとうございます。





2016.11.24
雪だからなんか書こうと思った。
思ったんだけど、友達に誘われてふらふら飲み歩いてた。

約一年ぶりの、この痛みに近い冷たさ。
すぐにあったかい場所に入れるからこその快感だよね。
あったかくて甘いコーヒーの幸せとか。
傘の中だけ雪風がない、あの感覚とか。
チカチカするのも楽しいし。
やっぱ冬が好きだなぁと思います。

拍手ありがとうございました!
そろそろ書きかけのあれをなんとかしたい…
したい…けど…まあいいか。なるようになるさ。





2016.11.23
対人関係でもやもやしてました。
とりあえず自分流の解釈で決着した…
と思う。たぶん。
ツンデレってほんと二次元に限ってほしいよね。
わたしがわりと本音ダダ漏れ人間なので、殊にそう思う。

でも、とある魚子ちゃん見てて思ったんだけど
欲望に基づく本音を自覚するのって、難しいのかも。
そしてそれを言葉にするのって、もっと難しいのかも。
多くの人間は、ただ愛されたいって言うだけでも、もしかしたら。

え、じゃあ葉佩ってすごくない?
…あ、いや、そうでもなかった。
あいつこそ自覚してなかった。

それはさておき、明日は広い範囲で雪だそうです。
通勤通学お気をつけて。
でもちょっとわくわくしてるなんて秘密なんだぜ…

【寒】って、季節が夏だったら【暑】になってたのかな。
むしろ【熱】かな。【燃】とかぶるね。そうか?

拍手ありがとうございます!





2016.11.10
見切った漫画が面白くなってた。
うああ悔しい!
最初ちょっと面白いなーと思って読んでて
で、だんだん興味ない方向に行ったからもういいやって思ったんだけど。

いわゆるテコ入れってやつがあったんだろうか。
いや、最初の方からテーマは一貫してる。
いよいよ本題に入ったって事なんだろうか。
だとしたらわたしが読んでなかった部分も道の一部なはずだ。

勿体ない事したかなーと思って後悔してます。
でもお金を出してまで読もうとは思わないのでまあいいや。

黄葉したカラマツが綺麗だねー。
って会話をなんの気なしにできる自分を褒めちぎってやりたい。
どこぞの青い次男なんか思い出してませんよ。
ゆうべはそいつが受けのエロ漫画なんか読んでませんよ。

ふう、隠れオタクも楽じゃねぇな。
拍手と【愛】ありがとうございます!