皆守から 胡乱なあいつ へ百の質問



1 本名は?
「なんだよいきなり」

2 お前たまに日本語おかしいよな。
「そ、そうかな」

3 産まれは?
「え、あの、何事?」

4 いいから答えろ。
「ちょ、ま、まずはカレーでも食って落ち着こう」

5 それは妙案だな。
「だろー?」

6 で、今からお前に百の質問をする。
「…はい」

7 えー、趣味は…墓荒らしだな。
「あれ?質問しねーの?」

8 好きな食べ物はカレー。
「えっと、うん、まあ、好きだけど」

9 前科は?
「何を言わせたいの」

10 その傷どうした?
「えーと…なんだっけ、転んだ、のかな?」

11 壁にぶつかったんだろ。
「ああ、そうだったかも」

12 前しか見ないからそいう事になるんだ。
「気をつけます…」

13 …大和を、どう思う?
「心の中ではアニキって呼んでる」

14 気持ち悪い奴だな。
「お前にだけは言われたくなかったな」

15 本当はカレー嫌いだろ。
「嫌いじゃないよ。お前ほど好きじゃないけど」

16 カレーに対する情熱でお前に負ける訳ないだろう。
「お前の口から情熱って出るとなんか気持ち悪いな」

17 白岐と仲良いよな。
「そーかな?普通じゃね?」

18 あの侍っぽい奴も。
「真里野ね」

19 あれも仲良いよな。
「刃物好き仲間だから。ちなみに墨木は銃仲間ね」

20 銃刀法って知ってるか?
「無許可で銃とか刃物とか持ったら駄目っていう法律」

21 知ってるんならいい。
「何の為に組織入ったと思ってんだよ」

22 その組織ってどんな権力があるんだ?
「そいつは言えないな」

23 ふうん。
「てゆーか俺もよく知らない」

24 いいのかそんなんで。
「動くのに問題はないよ」

25 まあいいか。
「お前のそーゆーとこ好きだぜ」

26 …そろそろ終わりでいいか。
「はえーよ、もうちょっとなんかねーの?」

27 弱点は?
「秘密」

28 鍋物はどうやって持ち歩いてる?
「智恵と勇気で」

29 答える気ないだろ。
「気持ちはあるよ」

30 面倒臭くなってきた。
「持続力ないなぁ」

31 俺は寝てるから適当に自問自答しててくれ。
「名前は葉佩九龍、職業は《宝探し屋》、年齢不詳の18歳です!」

32 うるさい。
「趣味は料理と、他にも色々作ったり修理したりするのも好きです!」

33 …。
「…終わっちゃったんだけど」

34 頑張れ。
「お前もな」

35 もっとこう、有益な情報はないのか。
「えーっと、たとえば?」

36 たとえば、毒キノコの見分け方とか。
「食べてみて具合が悪くなったら毒キノコだよ!気をつけてね!」

37 お前はもう手遅れだ。
「俺はまだ大丈夫だよ」

38 カレーは…
「あるよ、はい」

39 俺はどうしたらいいんだ。
「そうだなー、俺に任せとけばいいと思うよ」

40 じゃあ任せた。
「はい、あーん」

41 …。
「どうしたんだい皆守くん、目が氷のようだよ」

42 消えてくれるだけでもいいんだ。
「結論だけ口に出すのやめない?」

43 過程は複雑すぎて言葉にできない。
「へえ」

44 なんでお前が食ってんだ。
「だってお前が食べないから」

45 誰がいつ食べないなんて言った?
「はい、あーん」

46 …お前の気持ちはよく分かった。
「やっと分かってくれたんだね」

47 お前にとって、俺は取るに足らない存在なんだな。
「だから、なんでそこに至ったのかっていう過程をね」

48 この世は結果が全てなんだ。
「俺は過程も好きだな」

49 ちょっと甘いな。
「プルーン入れてみたんだ」

50 果物を入れた時は酸味を強くすると美味くなるぞ。
「おお、成る程」

51 いや、酢をかけろって言ってるんじゃない。
「え?」

52 今まで気にした事もなかったんだが。
「美味いんだからいいだろ」

53 料理中のお前を目撃した記憶がない。
「目にも留まらぬ速さで料理してるからね」

54 そ、そうだったのか…
「そうだったのさ」

55 まさか、このカレーも…
「うん、今できたばっかり」

56 なんだと…!
「話しながら料理してたんだ、気づかなかった?」

57 …気づかなかった…
「俺は《宝探し屋》だからね」

58 《宝探し屋》になると素早く料理ができるのか。
「そうだよ」

59 お、いつの間にか半分過ぎてるぞ。
「そーだね、質問されたのはその半分以下だけどね」

60 で、あと40問なんだが。
「おう、なんでも答えるぜー」

61 お前は何がしたいんだ。
「えっとねー美味いもん食って面白おかしく死にたい」

62 うん、まあ妥当な願望だな。
「他に質問は?」

63 そのポケット、ちょっと手入れてみていいか?
「それやったら、もう後戻りはできないよ?」

64 ん?
「後悔しない?」

65 後悔するかどうかは、やってみないと分からないな。
「それもそうだね」

66 って訳で、動くな。
「あのね、俺はお前には平穏に生きてて欲しいなって」

67 俺の生き方は俺が決める。
「あ!あれ見ろよ!ほらあそこ!」

68 そんな陳腐な手に俺が引っ掛かると思ってんのか。
「チンとか言うなよ!エロい!」

69 びっくりするほどバカだなお前。
「この程度でびっくりしてるような奴にこれは無理だよ!」

70 うるせぇ!暴れるな!
「あ、だめ、やめて、そこやだぁ!」

71 変な声出すな!
「お前がエロい事するからだろ!」

72 俺はエロくない!
「エロとか!お前は言うな!エロい!」

73 どうやら俺を本気にさせたいらしいな。
「お前にとってポケットってそんな大事な物なの?」

74 お前のポケットだからだ。
「なんの変哲もない普通のポケットだよー?」

75 じゃあ突っ込ませろ。
「ポケットの何がお前をそんなに駆り立てるんだよ!」

76 いいから黙ってそこに寝てろ。
「どうしよう!なんかドキドキしてきた!」

77 大人しくしてろよ。
「ええと、どこに何を突っ込むんだっけ…?」

78 ポケットに手を。
「あ、ああ、うん、そうだったね」

79 観念したか?
「俺を誰だと思ってやがる」

80 …おい、汚い物を押し付けるな。
「綺麗だよ、ちゃんといつも磨いてるし」

81 ところで質問なんだが。
「おう、なんでも訊けよ」

82 なんでそんなにポケットに触られたくないんだ。
「むしろお前はなんでそんなに触りたがるんだ」

83 刃物が出るほど嫌なのか。
「いや、そんな、別に、ほら、あの、あれだよ」

84 ああ、あれか。
「そ、そう、あれだよ」

85 どれだよ。
「は、恥ずかしいってゆーかー」

86 ほお?
「あの、質問は、もう終わり…?」

87 そのポケットはどうなってるんだ?
「物が入るようになってる」

88 普通だな。
「だからそう言ってんだろ」

89 まあいいか、疲れた。
「そんなお前に【愛】」

90 それ、なんて言ってるんだ?
「自分でもよく分からんけど、【愛】なんだよ」

91 【愛】
「ばっ…おまっばかっ何いきなりっ…!」

92 !?
「急にそんなん言うなよ!びっくりするだろ!」

93 何が起きたんだ…?
「あんまり乱用すんなよ、心臓に悪いから」

94 そうなのか?
「あーもー寿命100年ぐらい縮んだよ」

95 そんな危険な事を俺にやってたのか。
「お前は大丈夫だよ」

96 そうか。
「はあ、もう寝ようか」

97 って言いながら人のベッドに入るな。
「あ、靴下」

98 そんな所にあったのか、探してたんだ。
「ところでこれ、質問に答える企画じゃなかったっけ」

99 もういいだろ。
「あと一問残ってるよ」

100 まだやるのか?
「いや、もういいや」